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憧れの高峰秀子さん

高峰さんが亡くなって10年位になりますが、養女の斎藤明美さんが彼女のエピソードや遺した言葉・文章をまとめてすてきな本にされて出版しています。

煙のようになって消えていきたいの
斎藤明美
PHP研究所

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引き出しはどこを開けてもきちんと整理されていました。
物を選ぶ目の確かさと大切にする姿勢が半端ではありません。

高峰秀子の引き出し
斎藤明美
マガジンハウス

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昭和50年代に私が初めて買った高峰さんの本です。
装丁は安野光雅氏でした。
今改めて開いてみると、丁寧に作られたすばらしい本です。
あの当時ネットはなくて、只々本が増えるのがうれしくてたまりませんでした。

台所のオーケストラ
コットンが好き 
高峰秀子
潮出版社

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江戸時代には大名のお屋敷が多々あった麻布界隈、そこに高峰さんの家があります。
何と松山善三氏とおふたりの表札がまだ掛けてありました。
裏に回ると庭には大きな木々が空に伸びています。
「あーここで高峰さんが暮らしておられたのか・・・」と同じ景色を眺めてうれしくなりましたよ!

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<美しく老いることは不可能だが、静かないい顔に近づくことはできる。人間の顔が「顔」になるか単なる「ツラ」に終わってしまうかは当人の心がけ次第>        高峰さんの言葉です。


06:11 | | comments (4) | trackbacks (0) | edit | page top↑

庄野潤三の本

山の上の家
     庄野潤三の家
夏葉社

2009年88才で亡くなった庄野氏の作家案内のような本です。
家族に囲まれ静かに亡くなられた様子や書斎など生田の家の写真、家族や氏を巡る人たちの話など、興味尽きない本でした。
収録されている『青葉の笛』で、先の戦争で氏は人間魚雷の人員配置になり、親友に永遠の別れを告げに行き終に大声で泣き出す場面は、読んでいて涙が止まりませんでした。

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40代で初めて氏の本に出合い「こんな退屈な本は読めない!」と2、3ページでほうりなげました。
それが60代で再び手にして、氏の日常を淡々と描かれているものを読んでいると、切なくて温かくやさしい気持ちになっていくのです。

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氏の20人ほどの友人との交わりの本です。
何と大切に丁寧にされているのでしょうか?


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『プールサイド小景』等の短編集は初期の作品で、家族関係を鋭く描かれて、難しいものでした。
『うさぎのミミリー』は後期の作品で自分の老い・孫の成長・そして家族や近所や親戚・・・などの思いやり溢れる暮しの描写にひきこまれていくのです。

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氏は食事を大切にされて、酒も野菜も甘いものもお好きでした。
そして奥様もすべての暮し上手で、私の憧れの人です。

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「みなこの世に偶然居合わせただけの存在、だから互いにつかの間の関係を大切にしたい」が庄野文学の根っこです。
絶望の淵に立った戦争体験があるだけに、説得力があるのでしょう・・・
心さびしい現代、どうぞ庄野文学で温まってください。

08:41 | | comments (4) | trackbacks (0) | edit | page top↑

原民喜をたずねて

原民喜の名前は知っていますが、作品は読んだことがありませんでした。
縁あって<フィールドワーク原民喜の「夏の花」を歩く>に参加しました。
案内人は若い女性で,ゆかりの地を訪ねたのです。

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世界平和記念聖堂が出発点です。
1882年初めて広島に宣教にきた神父に原家が空き家を貸し、後々この地にできた教会です。

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民喜の生家跡には大きなマンションが建っていました。
彼の家は裕福な繊維業でした。

これは被爆柳です。
彼は自宅で被爆し、ここを歩いて避難したのです。

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栄橋です。
周りは火の海で避難者であふれていると、『夏の花』にあります。

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縮景園です。
多分ここに民喜は座り、火の手のあがった向岸を見たのですね。

ここは今は広島の観光地ですが、その時を思うと胸がつまりました・・・

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町中の寺の一番奥に原家の墓がありました。
墓参りをすると民喜が身近に感じられました。

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広島東照宮は民喜が野宿して、手帳に被爆の惨状を記録した地です。
追悼碑がありました。

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先の戦争時には生まれていませんし、ひもじい思いもしていないし・・・
そんなことはすっかり忘れて平和ボケしていました。
実際にその地を歩き、改めて民喜の作品を静かに読みたいと思っています。

06:53 | | comments (4) | trackbacks (0) | edit | page top↑

大往生したけりぁ医療とかかわるな

近頃あちこちの組織でホコロビが出てきました。
悲しいかな専門的な分野のことはさっぱりわかりません。
そんな中で現場に身を置く人の勇気ある提言には、驚くばかりです。

「長生かし」「長生かされ」にならないための意識改革を高齢者に強く呼びかける中村医師の言葉には説得力がありました。
今の医療は弱っても死ねない身体づくりをしているだけ・・・と言われます。
寿命で人生を終わるためには覚悟が必要ですが、平和ボケの私には何とも厳しいです。

大往生したけりぁ医療とかかわるな
中村仁一
幻冬舎

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まるで大河ドラマのように面白い小説でした。
さすが!浅田次郎!
小野寺一路は19歳で初めて故郷に帰り、亡き父の代わりに参勤道中御供頭を命ぜられるが、知り人は一人もおらず、仕事内容の皆目わからず、そんな中個性的でおもしろい人物が次々に現れるのです。

一路 上下
浅田次郎
中央公論新社


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児童文学です。
カーネーションの花言葉は「母への愛」の他に「拒絶・失望」もあるのですね。
妹ばかり可愛がり、自分にはいつも冷たくする母に、それでも愛されたいので懸命に努力する主人公の少女がせつないのです。

カーネーション
いとうみく
くもん出版

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あまりにも『一路』が面白かったので「どなたが演じたのかしら?」と興味津々で、NHKでドラマ化されたものの配役を検索してみました。
何と知らない俳優の名前が並んでいるばかりです。

あーやっぱり私は世間から離れた化石人間ですね~

06:55 | | comments (6) | trackbacks (0) | edit | page top↑

おらおらでひとりいぐも

「私は私で一人行きます」の東北弁の題名で、芥川賞・文藝賞を受賞した作品です。
74歳の老女の一人暮らしの様子を活写しているのですが、東北弁が入る分凄みが増すのです。
私はその部分はさっぱりで読み飛ばしてしまいました。

おらおらでひとりいぐも
若竹千佐子
河出書房新社

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敬愛する高峰秀子さんが遺された言葉を、養女の斎藤明美さんがエピソードを交えて紹介しています。
とあるトークショーで「美しく老いる?そんなこと無理です。年をとればみんな穢くなります」と70を過ぎた彼女は冒頭で言われたのです・・・
そして「人間死ぬまで勉強です」で締めくくりました。

煙のようになって消えていきたいの
斎藤明美
PHP研究所

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曾野綾子氏もぶれない人ですね。
後書きに<汚辱にまみれても生きよ>とあるのです。
老人は人様や世間一般に甘えずに生きることを、繰り返し説かれるのです。

戒老録
曾野綾子
祥伝社

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図らずも同じ時に、女性が老後の戒めを綴った本に3冊出合いました。

若いじぶんに<年を取るということは真っ暗闇を海に向かって歩いているようなもの>と千代芳子さんの本で読みました。
なぜかそこの文を心の底で覚えていたのですが、今大きく浮かび上がってきました。
正に老いが目の前に立ちはだかっているのです。



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